2021/05/20
雨が降っている。
雨が降り続く中、雨粒の景色を見るために外に出た。
歩くうちに何か様々なことを考える。
自分の事、他人の事、過去の事、未来の事。
少しさびれたショッピングモールの吹き抜けは、かすかに外の雨音を反射し、
あまり人の居ないモールの中にこだましている。
人々の話し声、モールの中を流れるBGM、
そのすべてが空洞の雨音の中に溶け込むようにこだましていた。
それはプールサイドの休憩室の様に、自分を漂白していく。
ここ2‐3日、濃厚な灰色の夜を過ごしている。
暖色の小さな明かりだけで照らされた雑然とした部屋は、
糖度の高いリンゴを10倍に煮詰めた様に心を侵食していく。
この出来損ないの傭兵の様な生活を送るには人生は長すぎるのかもしれない。
本でも書いて過ごそうかとふと思う。
自分の心の奥深く、内側の方から、漂う声を拾い集め、
1編の詩になることがあれば、それがすべてになるのかもしれない。