2022/07/04

わすれてしまう

 

美しい景色を見たとき、
素晴らしい体験をしたとき、
いろんなときに、いろんなことを思い出す。

 

真っ暗な夜の海で僕はコンクリートで塗り固められた岸壁から水平線を眺めている。
水平線には、ぽつぽつと船の明かりが浮かび、その中でもひときわ大きな船が、
まぶしい1点の白い光をつけて、ゆっくりと進んでいる。
海は黒々としていて、その船へと続く、白い明りの道ができている。
ちゃぷちゃぷと岸壁に波が打ち寄せる音と、遠く低く船の音が聞こえる。

 

そんな夢を見た。

 

忙しさの中で、そこにある小さくとも大切なことを忘れてしまう。
せわしない生活の中で、小さくとも大切な物事を注意深く扱うことは、
道端を歩く虫やカニをよけながら車を運転するのと同じほどに難しい。

長くそのようなことが続くと、道を歩く小さな命などなかったのではないかと忘れてしまうことがある。

自分は今までどれだけの虫たちを踏んづけてしまったのだろうかと、
ふと思ったりする。

忙しさは、それら後悔を忘却の彼方へ飛ばしてしまうのに十分で、
そんな言い訳をしてしまう自分を残念に思う。

 

時々反省して、小さな物事を忘れないようにしたいと思った。