2020/11/12

誰かが一節をささやいた
誰かがそれに重ねた

from 大脱走のテーマ(FoZZtone)

 

時に、輝かしいと思う何かを目にした。
そこに本体をなくした鍋の蓋があって、また、鍋の蓋をなくした鍋があって、
偶然出会ってそのままつきあっているという話だった。

 

自分自身はもはや鍋どころか跡形もないが、
そんな様子を見れて、自分にない何かを見た気がした。

 

時間は容赦なく経ってゆく。
この7年間、長かったようであっという間だった。
その間に、自分の中にある何かが時間とともに平たくなって
何もなかったかのように、何も感じなかったかのように振舞うようになって、
いずれそうする事も自分の当たり前の一部になってゆき、
平たい上澄みの幸せの中に溶け込んでゆくのだろう。

 

そんなことを昨晩思った。

今は、ただ、時々カシスオレンジをかき混ぜるマドラーのような人と、
時間を共有することで、過ぎ去った何かや自分の中にあった何かを
時として見つめなおすことしかできない。

そのような時間を幸福に思うことしかできないのだ。