2020/11/24

慣れない土地で喫茶店に入って、ぼんやりとウォーターサーバーを眺める。
濾過された水が一滴一滴と波紋を広げてゆく。
波紋は静かに広がり、タンクの内壁に反射して再び中心に集まる。

 

そして気づいた。ここは全く揺れの無い場所なんだと。
都会は常に揺れている。
かすかに、わずかに揺れが継続している。

 

それは、近くを通る車の振動だったり、あるいは地下鉄の走る音だったり。
いつもどこかで、新しいお店ができて古いお店はなくなってゆく。
都市の新陳代謝とでも言おうか。

 

雨の中、濡れた車の窓ガラスから見る景色は、
どこか滲んでいてゆがんでいて、しかし確かに存在を主張していた。

 

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海に行ったのは昨日で、
砂浜に打ち寄せる波を、光を、空気を見ていた。
ただただ、1羽のカモメが、飛び立ち、遠くへ消えてゆく様を、
打ち寄せる波に冬の柔らかい西日が差してゆく様を、
少し遠くで上下するサーファーの影を、
心に焼き付けておきたかった。

 

海岸線沿いに、道路が。
うみねこ海道という看板。
8kmも走れば灯台のある岬にたどり着くらしい。

 

ふと、後ろを見れば、小さな路地の坂道を西日が照らしていて、
小さな夏のかけらを見つけた気持ちになった。