2021/01/28

友人と夜の海へ行った。

海の近い駅で降りて、駅のホームで友人を待つ。

次の電車で友人がホームに降り立ち、その次の電車で橋の近くの駅に降りた。

特に何も考えず、海と橋を眺めて、そのまま海沿いに歩いて行った。

西へ西へと歩いていく。南には常に海がある。

できるだけ海の近くを歩いて、川や行き止まりがあれば引き返し、

堤防沿いをひたすら歩く。

 

冬の波打ち際を、夜の海を、眺めながら歩いていく。

海沿いに立ち並ぶ家々と高く反り立った堤防

消波堤の周りにあるテトラポット

静かな釣り人と光る浮

堤防の下の砂利道

河口近くの砂浜と、いくつも橋のかかった川

複雑な波の音

 

閉店30分前のコーヒーショップでコーヒーを買って飲む。

光る橋を眺めながら、海の音を聞きながら。

 

どこかのタイミングで少年に戻っていた気がする。

彼女は、堤防上の道から近くの駐車場に降りて行った時だという。

僕は、複雑な海の波の音を聞いた時だと思う。

あるいはそれよりも前、海を見てからか。

 

コーヒーショップからの眺め、机の下のそろった靴と橋。

少し肌寒い感じ。

 

コーヒーショップを出て、再びひたすらに歩く。
閉まっているゲストハウスや喫茶店を通り越し、

海の見える場所から何度も海を眺めて、

 

釣り人の多くいる海岸に出て、手すりにもたれかかって下を眺める。

月明かりが、小さな波に反射してうろこの様に光る。

あるいは、光る生物が潜っていくように光る。

また、円盤状の薄氷を水平に落としたときの様に、光が散らばっていく。

波や風に合わせて。

 

ずっと歩いて、僕らは、小さな灯台にたどり着いた。

灯台の下から見る海は、とてもきれいだった。

月を見て、自分の影を見る。

左を見れば、今まで歩いてきた海岸線と堤防が見える。

覗き込めばはるか下に海が、堤防に打ち付ける波が。

 

エルマーと竜の話をした。

まさしくこんな夜が描かれていた気がした。

どこへだって行けるということをすごく感じた。

 

永遠に居ることができそうな夜だった。

また、そのような時があるように、ありたい。